新しい開発手法の考え方を、AIに説明してもらった。その場ではよくわかった気がしたのに、1週間後に人へ説明しようとしたら、ほとんど何も出てこない。そんな経験はありませんか。
teachは、AIに先生役をさせるSkillです。学びたいテーマを伝えると、AIはまず「なぜ学びたいのか」を確かめ、1回で終わる短い教材を作ります。教材、参考にした情報源、どこまで身についたかの記録は、すべて作業フォルダにファイルとしてたまっていきます。
別の日に同じフォルダで「次のレッスン」と頼むと、AIはそのファイルを読み返してから、続きのレッスンを作ります。前回どこまで進んだかを、毎回説明し直す必要はありません。
この記事では、編集部がteachで「AI駆動開発」を学び始め、新しい会話で2回目のレッスンを頼むところまで試したやり取りと教材を使って、頼み方、続け方、注意点を順に紹介します(2026年10月10日、Claude Code)。後半では、Skillを作る人に向けて、この動きを支える指示の書き方を読み解きます。
こんなふうに、学びたいことを頼める
編集部が送った最初の依頼は、この一行だけでした。
/teach AI駆動開発を学びたい
teachは、いきなり教材を作りませんでした。作業フォルダに学ぶ理由を書いたファイル(MISSION.md)がまだないため、まず学ぶ目的を聞いてきました。2026年10月10日の試行では、次の3つを選択式で聞かれました。
- AI駆動開発を学んで、具体的に何を実現したいですか?(一番近いもの)
- 現在のプログラミング・AIツール経験はどのくらいですか?
- 1回の学習にかけられる時間はどれくらいですか?
編集部がClaude Code(v2.1.296、Opus 5.5)で実行したときの質問(2026年10月10日、権限モードacceptEdits)。それぞれに「自分の開発を速くしたい」「開発経験あり・AI少し」「15分程度」などの選択肢が付いていた。Skillは、導入時に確認したリポジトリの最新コミット49dd158の版。
質問の数と形は、実行によって違います。2026年9月18日に試したときは、きっかけ、成功の姿、前提知識、制約、対象外の5つを文章で聞かれました。
今回は選択肢に当てはまるものがなかったため、選ばずに文章で補足することにしました。するとAIは、きっかけ、ゴール、今の状況、進め方の希望を、自由に書いてほしいと聞き直しました。そこで、次の1文を送りました。
AIに実装を任せる開発を、自分一人で最初から最後まで回せるようになりたい。3か月後には、ほかの人に最小限の流れを実演できるようになりたい。Web系のコーディング経験はあるが、AIに実装を任せた経験は浅い。平日に週3〜5時間。AIモデルの調整やインフラ構築は扱わない。
この回答のあと、同じ会話のうちに、作業フォルダには次のファイルができました。
MISSION.md:学ぶ理由、成功の姿、制約、対象外を、決まった形に整理したもの。「3か月後(2027年1月上旬)」と期限も書き込まれていたRESOURCES.md:教材の根拠にする情報源の一覧。Claude Codeの公式ドキュメント(日本語版)などが、何に使うかの説明付きで並んでいたlessons/0001-delegation-loop.html:最初のレッスンreference/delegation-loop.html:レッスンとは別に切り出された、見返すための早見表learning-records/0001-starting-point.md:出発点の記録。「Web開発の経験はあるが、AIに任せた経験は浅い」ので、基礎は教えず、任せ方と検証の仕方に集中する、と書かれていたassets/:レッスンで使い回す見た目とクイズなどの部品NOTES.md:教わり方の好みのメモ。「選択式の質問がまとめて出されると答えにくい様子があった」ことも記録されていた
最初のレッスンは「AIに任せる開発の『1周』と、検証できる依頼文」でした。探索→計画→実装→コミットの流れと、AIが自分で正しさを確かめられるように依頼文へチェックを含めることを扱い、最後に、本文を見ずに答えるクイズ4問、依頼文の書き直し、手元のプロジェクトで1周を回す実地演習が付いていました。

teachが生成したレッスンの冒頭部分(2026年10月10日、Claude Code v2.1.296、Opus 5.5、権限モードacceptEdits)。全体は約20分の分量で、後半に練習と実地演習がある。
レッスンと別に、印刷して手元に置ける早見表も作られました。

同じ実行で生成された参照資料。
ここで覚えておきたいファイルは2種類です。
lessons/のレッスンは、1回で読み終えて、1つのことができるようになるための教材です。読み返すことはあまりありません。
reference/の参照資料は、レッスンの要点を短くまとめた、何度も見返すための資料です。チェックリスト、用語集、手順の一覧などがここにたまります。
teachは、レッスンの主張には出典のリンクを付け、自分で読むべき一次情報を1つ勧めるようAIに指示しています。AIの記憶だけで教えさせないためです。今回のレッスンでも、本文に番号付きの出典が付き、最後の「一次資料」の欄でClaude Codeの公式ベストプラクティス(日本語版)を読むよう勧めていました。AIはレッスンを作る前に、公式ドキュメントなどのWebページを取得していました。
便利なのは、何週間かけて身につけたいこと
AIに何かを説明してもらうこと自体は、Skillがなくてもできます。「わかりやすく教えて」「練習問題を出して」と頼めば、たいていのAIは応えてくれます。
teachを入れると変わるのは、学びが会話の中で消えず、フォルダに積み上がることです。学ぶ理由、使った情報源、どこまで身についたかがファイルに残るので、次の会話では「前回どこまでやったか」「なぜ学んでいるか」を説明し直さずに続きを頼めます。さらに、思い出させる練習問題や、その場の「わかった」と長く残る理解を区別した教え方が、毎回の依頼に書かなくても組み込まれています。
そのため、効果が大きいのは次のような学び方です。
- 新しく入ったチームの技術や、初めて触るコードの全体像をつかむ
- 資格試験や語学のように、数週間〜数か月かけて積み上げる
- 楽器や運動の手順のように、繰り返して体で覚える(公式ドキュメントでは、プログラミング以外の利用が多いと紹介されている)
一方で、向かない場面もあります。今の会話の中で1つのことを説明してほしいだけなら、そのまま質問した方が早く済みます。すでに持っている考えを磨きたいときは、計画を問い詰めるgrill-meのようなSkillの方が合っています。
導入して、同じ例を試す
導入の前に知っておくこと
学ぶテーマごとに、専用のフォルダを用意します。 teachは、実行したフォルダを学習用の作業場所として使い、そこにファイルを作っていきます。1つのフォルダで扱うのは1つのテーマです。公式ドキュメントは、作業中のプロジェクトの中で使わず、学習専用のリポジトリを作ることを勧めています。
自動では起動しません。 teachは、AIが会話の流れから勝手に使い始めない設定になっています。使うときは/teachと打って呼び出します。
Claude Codeでは、入れた直後のSkillが使えないことがあります。 編集部の試行では、起動中の会話のまま/teachを呼ぶと「Unknown skill」と表示されました。学習用フォルダでClaude Codeを起動し直すと使えるようになりました(2026年9月18日)。
学ぶ内容は、使っているAIサービスに送られます。 社内の資料や情報を教材の材料にする場合は、AIサービスの規約と社内ルールに沿って扱ってください。Skill自体は無料のOSSですが、AIサービスの利用料は別にかかります。
インストールする
学習用のフォルダで、Skills.shに掲載されている次のコマンドを実行します。
npx skills add https://github.com/mattpocock/skills --skill teach
入れる先のAI環境は、実行した環境によって変わることがあります。編集部がAIエージェント(Codex)の中から確認を省く-yを付けて実行したときは、そのエージェント向けの場所(.agents/skills/)にだけ入り、Claude Code用の.claude/skills/には入りませんでした(2026年10月10日)。Claude Code向けに入れたい場合は、末尾に--agent claude-codeを付けると.claude/skills/teach/に入ることを確かめています。
導入後は、フォルダにSKILL.mdができたか(Claude Codeなら.claude/skills/teach/SKILL.md)を確かめ、そのフォルダで新しい会話を始めて/teachを試します。最後に、MISSION.mdなどのファイルが実際にフォルダにできるかを確かめます。AIが「使えます」と答えただけでは、導入できた証拠になりません。Skillの読み込み方はAI環境によって違うため、この確認方法も成功を保証するものではなく、確かめる手がかりです。
依頼して、答える
冒頭の例のように/teach <学びたいこと>と送り、聞き返された質問に答えます。
このとき、今の自分の知識と、わかっていないことを最初に書いておくのがおすすめです。公式ドキュメントによると、teachには最初に理解度を測る手順がなく、初回は学習記録もないため、知っている前提で話が進んだり、説明のない専門用語が出たりすることがあります。「この用語は初めて見た」「ここはもう知っている」と伝えておけば、最初のレッスンから難しさが合いやすくなります。
今回の回答には「Web系のコーディング経験はあるが、AIに実装を任せた経験は浅い」という前提を含めました。AIはこれを出発点の学習記録に書き、「コードを読む・書く・テストするといった基礎は教えず」任せ方と検証に集中すると決めていました。最初のレッスンの冒頭にも「前提:Webのコーディング経験」と書かれています。ただし、編集部は学習者としてレッスンに取り組んでいないため、難しさが実際に合っていたかは確かめていません。レッスンには「計画モード」「/clear」など、Claude Codeを使ったことがないと分からない言葉も出てきます。わからない言葉があれば、その場で伝えてください。
2回目以降の使い方
次に学ぶときは、同じフォルダで新しい会話を始め、続きを頼みます。
/teach AI駆動開発の次のレッスン
SKILL.mdは、MISSION.mdと、これまでの学習記録(learning-records/)をもとに、今の実力より少しだけ難しい内容を選ぶようAIに指示しています。
編集部は、最初の会話を閉じ、同じフォルダで新しい会話を始めてこの一行を送りました。AIはまずMISSION.md、NOTES.md、learning-records/0001-starting-point.md、RESOURCES.md、最初のレッスンを読みました。そのうえで、すぐにはレッスンを作らず、次のように聞いてきました(抜粋)。
「次のレッスン」を作る前に、一つだけ聞かせてください。
前回の Lesson 0001 は、最後の「6. 実地:1周を回してみる」で詰まった箇所を起点に次のレッスンを作ると約束して終わっています。ただ、まだ報告がなく、学習記録も出発点の1件だけです。このまま進めると、あなたに合っているか分からないレッスンになってしまいます。
実地演習(小さな機能を「計画 → 実装 → 証拠を読む → コミット」まで回す)はやってみましたか?
(中略)
- まだの場合:先に1周回すことをおすすめします(20〜30分ほどで済みます)。それでも先に進みたい場合は、1周のうち「検証 → 修正」の部分を扱うレッスンを作ります。
編集部がClaude Code(v2.1.296、Opus 5.5)で実行したときの応答の抜粋(2026年10月10日、権限モードacceptEdits)。
前回のレッスンの最後に書かれた約束と、学習記録がまだ1件しかないことを、ファイルから読み取っていました。編集部は「実地演習はまだやっていません。先に次のレッスンに進めてください。」と答えました(記事の依頼文の外で送った、唯一の追加の返事です)。
AIは、予告どおり「検証 → 修正」を扱う2回目のレッスン「『できました』を審査し、直させる」を作りました。AIの完了報告と差分を3つの問いで確かめ、足りない部分を直させる依頼文を書く内容で、最初のレッスンの「依頼文にチェックを含める」の続きになっています。

2回目のレッスンの冒頭部分。冒頭に「前提:Lesson 0001」とある(2026年10月10日、Claude Code v2.1.296、Opus 5.5、権限モードacceptEdits)。
同じ依頼で、フォルダには次の変化がありました。
learning-records/0002-advanced-before-field-practice.md:実地演習をせずに先へ進んだことを、編集部の返事を根拠に記録。実地演習は2回目のものと1つにまとめ、次のレッスンの前に結果を聞く、と書かれていたreference/review-and-fix.html:審査の3つの問いと、直させる依頼文のひな形をまとめた早見表assets/spot.js:差分の中から問題のある行を選ぶ練習の部品。以降のレッスンでも使う前提で追加されたNOTES.md、RESOURCES.mdの追記と、最初のレッスン・早見表から新しいページへのリンク
学習者の返事が学習記録に残り、次の判断の根拠になることは、この記録で確かめられました。授業の状態は会話ではなくフォルダにあるので、新しい会話でも続きから進みました(同じ会話を続けて頼む場合は試していません)。
レッスンの難しさが合わなかったときも、そのまま口に出して伝えます。公式ドキュメントは、こうした指摘が学習記録になり、次のレッスンを方向づけると説明しています。学ぶ目的が変わったときは、MISSION.mdを書き換える前に確認を取り、変わった理由を記録するよう求めています(目的を変える場面は試していません)。
なお、今回の最後のまとめは英語で返ってきました。レッスン本体や途中の質問は日本語でした。
自動ではやらないこと
公式ドキュメントは、teachが次のことを自分からはしないと説明しています。
- 日をあけた復習の予定を立て、知らせること
- 「新しい内容はここまでにして、復習や実践に切り替えよう」と提案すること(ドキュメントは「確実にはできない」と書いています)
編集部の試行では、1つ目はそのとおりでした。2回目の会話で、復習する日を決めたり、予定を知らせたりする提案はありませんでした。2つ目は少し違いました。AIは前回の実地演習が終わっていないことに気付き、「先に1周回すことをおすすめします」と実践を勧めてから、こちらの返事で次のレッスンに進みました。前回のレッスンに「実地の結果から次を作る」と書かれていたことが、きっかけだったと考えられます。いつも勧めるとは限らないため、頼りにはしないでください。また、2回目のレッスンのクイズ5問のうち2問は、1回目の内容を思い出す「(復習)」の問題でした。新しいレッスンの中に復習を混ぜることはしても、復習だけの回に切り替える提案はありませんでした。
そのため、続けるときは次の手順を自分で回します。
- 復習する日を、自分の予定表に入れておく
- その日は「新しいレッスン」ではなく、「これまでの内容から思い出す問題を出して」と頼む
- 一区切りついたと感じたら、「この内容を実際の仕事で試す課題を出して」と頼み、学びを外で使う
- うまくいかなかった点を伝え、学習記録に残してもらう
学ぶ前に見るのは3点
1. 出典を自分で開いているか。 teachは出典付きで教えるよう指示されていますが、内容が正しいことの保証にはなりません。2026年9月18日の試行では、レッスンに具体的な割合の数字がリンク付きで引用されていましたが、その数字がどんな条件で測られたものかまでは確かめていません。公式ドキュメントには、作り話の手順を教わってしまった利用者の例も紹介されています。仕事の判断に使う内容は、レッスンが勧める一次情報を自分で読んで確かめます。
2. クイズの答えの位置を手がかりにしていないか。 SKILL.mdには、選択肢の長さをそろえ、正解の位置を問題ごとに変えるよう書かれています。ただし公式ドキュメントでは、正解が最初の選択肢に偏るという報告と、指示を書き足すだけでは直らなかったという検証が紹介されています(確認時点)。
編集部の試行(2026年10月10日)では、偏りは見られませんでした。1回目のクイズ4問の正解は2・4・3・1番目、2回目の5問は1・3・4・2・3番目で、9問中、最初の選択肢が正解だったのは2問です。選択肢の文字数もほぼそろっていました。クイズの部品(assets/quiz.js)には選択肢を並べ替える処理はなく、位置はAIが問題を書くときに決めたものです。1回の試行の結果なので、偏りがないとは言えません。答えの位置は気にせず、中身で選びます。
3. 難しさが合っているか。 説明のない用語が続く、すでに知っていることを繰り返す、と感じたら、その場で伝えます。黙って進めると、合わないレッスンが続きます。
このSkillは、AIへの仕事の教え方をどう組み立てているか
ここからは、自分でSkillを書く人に向けた内容です。
前半では、AI駆動開発を学び始め、2回目以降も続きから教わる流れを見ました。後半では、その動きを支えているSKILL.mdの書き方を読み解きます。
teachの特徴は、教え方のコツを並べるだけで終わらせず、「いつ使うか」「何を残すか」「何を最初に確かめるか」「何を基準に判断するか」を分けて書いていることです。それぞれを、同じAI駆動開発の例に当てはめて見ていきます。
全体の構造
Skillのフォルダと、利用者の学習用フォルダにできるファイルの役割は次のとおりです。
teach/SKILL.md … AIへの指示。作業場所、教え方の考え方、レッスンの作り方 teach/*-FORMAT.md … MISSION.md・RESOURCES.md・学習記録などの書式 学習用フォルダ/MISSION.md … 学ぶ理由。すべてのレッスンの基準 学習用フォルダ/RESOURCES.md … 教える根拠にする情報源 学習用フォルダ/lessons/ … 1回分のレッスン(HTML) 学習用フォルダ/reference/ … 見返すための参照資料(HTML) 学習用フォルダ/learning-records/ … 身についたことの記録 学習用フォルダ/assets/ … レッスン間で使い回す部品 学習用フォルダ/NOTES.md … 教わり方の好み
SKILL.mdには番号付きの手順はなく、方針が節ごとに書かれています。実行の順に並べ直すと、次の流れになります(並べ方は編集部によるものです)。
/teachで呼ばれる →MISSION.mdがなければ学ぶ理由を聞く → 信頼できる情報源を集めてRESOURCES.mdへ → 目的と学習記録から次に教える内容を選ぶ →assets/の部品を確認してレッスンを作る → 要点を参照資料に切り出す → 学んだことと好みを記録する
学びの状態はすべてファイルにあり、次の会話はそこから再開します。一方で、復習の予定を管理する仕組みや、教えるのをやめる条件はありません。
以下の5つの解説は、いずれも「原文の書き方 → AI駆動開発の例でどう働くか → 省いたら起こりうること → 自分のSkillへの応用」の順で書きます。「省いたら起こりうること」は設計上の推論で、比べて試した結果ではありません。「応用する指示の例」は編集部の提案で、原文の引用ではありません。
1. 長く続く作業を始めるSkillは、人が呼んだときだけ動かす
原文の書き方(frontmatter)
frontmatterにはdisable-model-invocation: trueがあり、AIが会話の流れから自動でこのSkillを使い始めないようにしています。代わりにargument-hint: "What would you like to learn about?"で、呼び出すときに何を書けばよいかを示しています。本文の最初の一文は「これは状態を持つ依頼で、利用者は複数回の会話で学ぶつもりでいる」です。
AI駆動開発の例でどう働くか
編集部の試行では、学習用のファイルは/teachと打った後に作られました。一方、ふだんの会話で「AI駆動開発ってなに?」と聞いてもこのSkillが動かないことは、原文の設定から言えることで、今回は試していません。
省いたら起こりうること
自動で起動できると、ちょっとした質問のたびにMISSION.mdの聞き取りが始まったり、作業中のプロジェクトに学習用ファイルが作られたりする可能性があります。
応用する指示の例
disable-model-invocation: true argument-hint: "何を学びたいですか?"
ファイルを作り続ける、何回もの会話にまたがる、といった重い作業を始めるSkillは、人が呼んだときだけ動くようにします。呼ぶときに何を渡せばよいかは、入力の例として示しておきます。
2. 状態を、役割ごとのファイルに分けて残す
原文の書き方(Teaching Workspace)
学習の状態を、MISSION.md(なぜ学ぶか)、RESOURCES.md(何を根拠にするか)、learning-records/(何が身についたか)、lessons/、reference/、assets/、NOTES.md(好み)に分けて定義しています。学習記録は0001-<名前>.mdのように連番で増やし、書式は別ファイル(LEARNING-RECORD-FORMAT.mdなど)に切り出しています。さらに、作業場所のファイルは/teachを実行したフォルダに作り、書式ファイルだけはSkillのフォルダから読む、と置き場所を分けています。
AI駆動開発の例でどう働くか
編集部が新しい会話で「次のレッスン」と頼むと、AIは最初にMISSION.md、NOTES.md、learning-records/、RESOURCES.md、前回のレッスンを読みました。目的(3か月で一人で回せるようになる)、到達点(学習記録は出発点の1件だけ)、前回の約束(実地の結果から次を作る)をそこから拾い、実地演習の状況を聞いてから「検証 → 修正」のレッスンを作りました。どのファイルを読めば何が分かるかが決まっているので、会話が変わっても続きから進められました。
省いたら起こりうること
状態を会話の記憶に頼ると、新しい会話では最初からやり直しになります。1つのファイルにすべてを書き込むと、どこを更新すべきかがAIにとって曖昧になります。実際、このSkillには、作業場所のファイルがSkillのフォルダ側に作られてしまう問題が報告され、置き場所を明記する修正が入っています。
応用する指示の例
状態は、実行したフォルダの次のファイルに分けて保存する。 目的はMISSION.md、根拠にした情報源はRESOURCES.md、進み具合はrecords/0001-<名前>.md の連番。 次の作業を始める前に、これらを読んで現在地を確かめる。
何回もの会話にまたがるSkillでは、「何を・どのファイルに・どこへ」残すかを決めます。ファイル名から中身が分かり、次に書くファイルが一つに決まるようにしておきます。
3. 作り始める前に、目的を確かめさせる
原文の書き方(The Mission、MISSION-FORMAT.md)
「利用者の目的が曖昧か、MISSION.mdが埋まっていなければ、最初の仕事は、なぜ学びたいのかを質問すること」と書いています。理由も明記しています。目的が分からなければ、レッスンは抽象的になり、次に何を教えるべきかを判断できなくなる、というものです。書式ファイルには「曖昧なら押し返す」「悪い目的は、目的がないより悪い」とあり、目的を変えるときは利用者に確認してから更新し、変更を記録するよう求めています。
AI駆動開発の例でどう働くか
前半で見たとおり、teachは教材を作る前に目的を聞きました(2026年10月10日は選択式の3問、9月18日は文章の5問)。答えを受けて作ったMISSION.mdの成功の姿は「小さなWeb機能を『要件の伝達 → 計画 → AIによる実装 → 検証 → 修正 → コミット』まで、AIエージェントと一人で完走できる」で、最初のレッスンはその「1周」を扱うものになりました。ほかの目的を答えた場合と比べてはいないため、目的の違いでレッスンがどう変わるかは試していません。
省いたら起こりうること
目的を聞かずに教え始めると、一般的な入門説明から始まり、利用者が本当に必要な内容にたどり着くまで遠回りになる可能性があります。
応用する指示の例
目的を書いたファイルがない、または曖昧な場合は、成果物を作る前に目的を質問する。 目的には、実現したいこと、成功の具体的な姿、制約、扱わないことを含める。 目的を変える場合は、利用者に確認してから更新し、変えた理由を記録する。
成果物を作るSkillでは、作り始める条件として「目的が書かれていること」を置きます。目的に何を含めるかも、書式として決めておきます。
4. 判断の基準を、対になる言葉で渡す
原文の書き方(Philosophy、Knowledge、Skills)
学びを、その場で思い出せる「Fluency(流暢さ)」と、長く残る「Storage strength(定着の強さ)」に分け、目指すのは後者だと書いています。そのうえで、知識を得る段階では「難しさは敵」として負担を減らし、技能を身につける段階では「難しさは道具」として、思い出す練習や間隔をあけた練習で負荷をかけるよう指示しています。練習には、できるだけすぐ結果が返る仕組みを付けるよう求めています。
AI駆動開発の例でどう働くか
2026年10月10日の最初のレッスンは、説明を短くまとめたうえで、「上の本文を見ずに答えてください」と書いたクイズ4問を置いていました。答えるとすぐに正誤が出ます。依頼文を書く練習では、書いている間に、必要な要素が入っているかをその場で判定する部品も付いていました。2回目のレッスンでは、新しい内容のクイズに、1回目を思い出す「(復習)」の問題を2問混ぜていました。読んで分かった気になるだけで終わらせず、思い出させ、結果をすぐ返す作りです。
省いたら起こりうること
「わかりやすく教える」だけを指示すると、AIは説明を丁寧にすることに集中し、練習で負荷をかける部分が抜ける可能性があります。逆に、すべてを難しくすると、理解する前に疲れてしまいます。
応用する指示の例
新しい情報を伝える段階では、難しさを減らし、1回に扱う内容を絞る。 身につける段階では、答えを見せる前に自分で思い出させる問題を出し、結果をすぐ返す。
手順を細かく並べるより、「この段階ではこう、あの段階ではこう」と対になる判断基準を渡すと、AIは想定していない題材でも同じ考え方で判断しやすくなります。
5. 指示だけで直らないことは、部品で直す
原文の書き方(Skills、Assets)
クイズについて、「選択肢はすべて同じ語数にする」「正解の位置を問題ごとに変える」「書式や順番で答えの手がかりを与えない」と指示しています。また、レッスンはassets/の部品から作り、新しく使い回せるものは部品として書き出すよう求めています。
一方、公式ドキュメントでは、正解が最初の選択肢に偏るという報告が複数あり、位置を変える指示を試しても、9つのレッスンで33問すべての正解が最初の位置に来た、という検証が紹介されています。ドキュメントは、本当の直し方は表示するときに選択肢を並べ替えるクイズの部品をassets/に置くことだとしています(確認時点では未実装)。
AI駆動開発の例でどう働くか
2026年10月10日の試行では、AIは最初の会話でクイズの部品assets/quiz.jsを作り、そのコメントに「選択肢は同じ長さに揃え、正解の位置は問題ごとに変えること」と書きました。部品には並べ替えの処理はありません。2回目の会話では、AIは書き終えたレッスンのクイズを小さなスクリプトで読み出し、各問の正解の位置と選択肢の文字数を確かめていました。今回の9問では最初の選択肢への偏りは出ませんでしたが、位置はAIの書き方に任されたままです。
学習用フォルダのassets/は利用者のものなので、「選択肢を表示のたびに並べ替えるクイズの部品を作って」と頼めば、そのフォルダの中で直せる、と公式ドキュメントは書いています(この依頼は試していません)。
省いたら起こりうること
指示を書き足すだけで直ったと考えると、偏りが残ったまま練習を続けることになります。
自分のSkillで使うなら(応用案)
クイズは assets/quiz.js の部品で表示し、選択肢の順番は表示のたびに部品側で並べ替える。 問題文と選択肢を作るときは、正解の位置を気にしなくてよい。
これはteachにある機能ではなく、追加する仕組みの提案です。AIの書き方の癖のように、指示を重ねても直りにくいものは、使い回す部品やスクリプトの側で処理します。守らせたいことを「AIへの指示」「部品やスクリプト」「確かめ方」のどれで守るのかを決めて書きます。
各指示の原文は、SKILL.md原文で確認できます。
補足:Skillの基本情報
- Skill名:
teach(Skills.sh) - 作者・リポジトリ:Matt Pocock(mattpocock/skills)
- 料金:Skill自体はOSSで無料。AIサービスの利用料は別途
- 呼び出し方:
/teach <学びたいこと>。AIによる自動起動はしない - 注目度(2026年10月9日確認):インストール数781.4K、初登場2026年5月27日。GitHub Stars 280.9K(Skills.sh表示。リポジトリ全体の数字)
- セキュリティの自動監査(2026年10月9日確認):Gen Agent Trust Hub、Socket、SnykはいずれもPass。自動監査の表示で、安全性を保証するものではない。2026年10月10日にインストールしたときの表示は、GenがSafe、Socketが0 alerts、SnykがLow Risk
